ほとけさまの加護

2020/08

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染症により、世界は大混乱となっております。明日が見えない状況で、他人を批判するだけの正義や不確かな情報が出回り予防情報が錯綜して、耳を疑うような様々なニュースを見聞きしますと、私たち人間の心というものは一歩間違えると何をしでかすか分からない危険な要素もっている、ということを感じずにはいられません。

この混乱した世の中は、当たり前に出来ていたことが出来ない欲求不満の状態がかもしだされて、何が起こるか分からない状況で、全体に大きな不安が漂っているようであります。

 

「人は環境の動物である」といわれますが、確かに人間は環境の善し悪しによって善くもなれば悪くもなります。しかし、良い環境、恵まれた環境にさえなれば人間は皆、善人になるのかというとそうでもなく、私達の欲望は止まるところを知りません。ステイホームのいま、心の在り方や持ち方を考えてみる機会ではないでしょうか。

 

 仏教に「冥加(みょうが)」という言葉があります。

人知れず冥々のうちに仏・菩薩から加護をこうむる事。目に見えない神仏の加護。

 

という意味の言葉ですが、半年前まで当たり前のように食べ、飲み、呼吸をし、平和に浸かっていましたが、よくよく考えて見ますと、いろいろな人の力や、先人達の礎があったからこそであります。つまり、平和も、一杯の水でさえも日本のいろいろな人が携わり支え合ってきた目には見えない力があってのことであります。この人と人とのつながり「縁」も「冥加」といえましょう。

 

 せっかく助け合い節度ある日本という良い環境に恵まれたのですから、いつも見守っていただいているみ仏さまやご先祖さまが守りがいのある生き方、つまりは大勢の人々の幸せを優先する生き方を、お互いに考えながら毎日を過ごしたいものです。共にウィルスに打ち勝ちましょう。


合掌

(谷口 明信)