庚申塔

2020/07

 先月は梅雨入りがありましたが、陽気の強く気温の高い日も多くありました。皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

 

 今回は私の実家の近くに建てられたある石碑についてお話させていただきます。この「庚申」と刻まれた石碑ですが、「庚申待」に関するものだそうです。

 

 庚申待とは道教が由来の考え方で、人の中にはとある虫が住みついており、暦上の庚申(かのえさる)の日の夜に身体の中から出てきて、その人間の悪行を天帝(もしくは閻魔大王)に報告すると考えられていました。その虫が出歩くのは夜中ですが、本体の人間が起きている間は身体の外へ出られないようで、昔の人たちは悪事を閻魔大王に報告されないように集まって酒盛りなどをして一晩中起きていたそうです。

 

 この虫が出てくる晩を寝ずに明かすことを「庚申待」といい、その集まりを「庚申講」と呼ぶそうです。この庚申の日ですが、年に6または7回あり、庚申待を3年間18回続けた記念として庚申塔が建立されたようです。庚申塚と呼ばれることもあり、庚申・庚申塔と石に刻むことが多かったようですが、地方によっては申(さる)と掛けて見ざる・言わざる・聞かざるの三猿が彫られた庚申塔も見られるようです。

 

この道教由来の儀式ですが、日本では平安時代に貴族たちによって行われていたようで、民間に伝わったのが江戸時代のことだそうです。庚申待は仏教・神道それぞれに受け入れられ、仏教では青面金剛または帝釈天、神道では猿田彦神が庚申の本尊とされています。

 

 この庚申塔ですが、おもに関東地方に多く残されているようです。気になった方は近所にあるか調べてみてはいかがでしょうか。


合掌

(笠井 裕舜)