寒さの中に芽吹くもの

令和8年2月

 立春を迎えたとはいえ、まだまだ寒さの厳しい日が続いております。

 境内の木々も一見すると静まり返っているようですが、よく目を凝らすと、枝先には小さな芽が膨らみ始め、確かに春への準備が進んでいることを感じさせてくれます。

 

 私たちの日々の暮らしも、順風満帆なときばかりではありません。仕事や家庭、健康のことなど、思うようにならず心が冷え込むような時期を過ごしておられる方も多いのではないでしょうか。

しかし浄土宗では、そうした迷いや不安を抱えたままの私たちをこそ、阿弥陀さまは「そのまま」包み取ってくださるとお教えいただきます。

 

 お念仏とは、立派な心境に達してから称えるものではなく、悩み、立ち止まりながらも「南無阿弥陀仏」と称えるところにこそ意味があります。寒さの中で芽が育つように、私たちの歩みも、気づかぬところで確かに支えられ、導かれているのです。

忙しさに追われる日常の中で、ほんのひととき立ち止まり、手を合わせてみてください。今の自分のままで大丈夫なのだと、念仏の声がそっと背中を押してくれるはずです。

 

 春彼岸に向けて、皆さまとともに念仏のご縁を大切にしてまいりたいと思います。合掌