薫風

令和5年皐月

 5月は、春から夏に移り変わる季節の始まりで、成長や変化を象徴することから、継続的な努力や忍耐が必要だということを教えてくれます。自然や周りの人々に対する感謝の気持ちを忘れずに過ごし、その恩恵を受けることが当たり前ではなく、ありがたいことだということに気づくことが出来るときでもあります。自分自身や周りの人々にとって新しい目標や夢を設定し、そのために必要な努力を惜しまない心意気を持ちたいものです。

 

自然を感じさせる次のような説話があります。

ある日、お釈迦様さまが弟子たちとともに山中で休息していたとき、一輪の花を手に取り、弟子たちに向かって、「この花は美 しいですが、言葉では説明できません。見て感じることが大切です。」と言いました。弟子たちは何を意味するのかわからず、ただ花を見つめていましたが、やがて心から花の美しさに気づき、感動しました。言葉だけでは説明できないものがあること。また、自然に触れることが心を豊かにすることも示されています。

 

 このお話は拈華微笑(ねんげみしょう)と言い、言葉を使わず、心から心へ伝えること。また、伝えることができることを示しています。「拈華」は花をひねる意。「華」は草木の花の総称。「拈」は指先でひねることを表します。

 

 5月を迎えるにあたり、自分自身や周りの人々にとって良い方向へ向かっていきたいものです。