醍醐味

2020/04

 今月は、身近な仏教語のひとつ「醍醐味」についてお話しさせていただきます。

 

 現在では物事の本当の面白さ、真髄というような意味で使われていますが、もともとの語源としては、古代において牛乳から乳製品を作る時の段階の一つ「醍醐」が始まりのようで、「乳」「酪」「生酥(しょうそ)」「熟酥(じゅくそ)」の順で品質が上がっていき、そして最高の品質である「醍醐」という全部で五つの段階があるそうです。

 

この最高の美味をあらわす「醍醐」が、「醍醐のような最上の教え」として例えられたことから、仏教用語としても醍醐という言葉が使われるようになりました。

 

 ちなみに、この「醍醐味」はサンスクリット語でサルピル・マンダと言いますが、乳酸飲料「カルピス」はサルピル(サルピスとも)をもじった商標であるとのことです。

 

 現代において「醍醐」の製法は失われており、口にする機会はありませんが一つ前の段階の酥(蘇)は食べられるそうです。気になった方は試してみてはいかがでしょうか。


合掌

(笠井 裕舜)