2026/05
然るを、今、遇い難くして遇う事を得たり。
徒ら(いたず・ら)に明かし暮らして止み(や・み)なんこそ悲しけれ。
大意:【それを今、遇い難いこの身で出遇うことができたのです。何もしない月日を送って人生が終わるのは残念なことです。】
5月になると、山も野も、そして街路樹も目に染みるほど青々とした葉を茂らせます。冬の寒さを耐えた木々が待ちわびたように枝を伸ばし葉を広げる様子を感じる季節となりました。
お釈迦さまは、菩提樹の下でお悟りを開かれたと伝えられています。木陰のひんやりとした空気、木漏れ日のやわらかな光、そうした自然のなかで真理の目が開いていったのです。木の葉1枚1枚は、けっして、自分の力だけで育つのではありません。大地の恵み、雨の潤い、太陽の光、根から根へと届く無数のはたらき、あらゆるものの支えのなかで、はじめて青くあることができるのです。
私たちの命もまた、同じことではないでしょうか。自分1人の力で生きているように思えても気づかぬうちに多くの人のご縁に支えられ、見えない命のつながりのなかに生かされています。
この5月、輝く青葉を目にするたびに、「ありがとう」という静かな感謝の心を、胸の中でそっと育てていきましょう。その小さな気づきが、仏さまへの第1歩となると思うのですがいかがでしょうか。
(宮林 成彦)