月かげ

令和4年長月

月かげのいたらぬ里はなけれども ながむる人のこころにぞすむ

 

 猛暑日が続いた夏が過ぎ、ようやく朝夕に涼しさを感じるようになりました。どんどん空が高くなり雲がきれいに見えて空気が澄んできます。 

 

 今年は中秋の名月が9月10日になるようです。横浜中華街では中秋節が催され、月餅をお供えし、お月見を家族で楽しむことが一家団欒につながると伝えられています。

 

 

 冒頭の法然上人が作られたお歌は、月かげ=月の光が、阿弥陀如来のお慈悲のみ光を表し、あまねく一切の人々を照らして下さるが、その光をながめなければ、お慈悲に気づくことが出来ないことを諭してます。阿弥陀さまはすべての人々をお救い下さるが、願わず、喜ばず、お慈悲に背をむけるものは、気づくことができない。

 

例えば、親は常に子を守り、育み、救う思いを持っていて、その思いに子が気づき、頼れば必ず守ってくれるでしょう。川で溺れている時「お母ちゃん お父ちゃん」と呼んだら、それを聞いた親は必ずや自らの命を捨ててでも子を救いにいく。阿弥陀さまと私達との間にも同じことが言えるのであります。

 

 

 阿弥陀さまは「わが名を呼べよ、必ず救うぞ」とお誓い下さります。その阿弥陀様の本願に応えて、「南無阿弥陀仏」とお称えすれば必ずや、苦しみ、迷い、悩み多き現世から喜び、楽しみ、幸せの世界、すなわち極楽浄土へとお救い下さるのであります。

 

 澄んだ空の秋の月を眺めながら、その光に照らされていることを感じ、お念仏をお唱えし、ご先祖さまを懐かしみながら、秋の夜長を過ごしていきたいものです。