雨粒の音

令和5年水無月

 6月に入り、鬱陶しい梅雨の季節となりました。今の時期に合った法話をご紹介します。

 

 ある日、修行僧が突然の雨に見舞われ、雨宿りをすることにしました。木の下でじっとしていると、雨粒が落ちる音が耳に響き、最初は音の数を数えて楽しんでいましたが、やがて雨粒の音自体に集中し始めました。雨粒が木の葉に当たる音、地面に落ちる音、水たまりに落ちる音。彼はそのすべての音に心を傾けました。すると、煩わしいと思っていた雨の中にいるにもかかわらず、彼は穏やかな気持ちに包まれていきました。雨粒の音が心を浄化し、心を静める力を持っていることに彼は気づいたのです。雨粒の音に心を集中させ、その瞬間に身を委ねることで、心の平穏を見出すことができたのです。

 

 梅雨の時期はしばしば湿気や曇り空で気分が滅入りやすいものですが、見方を変えることによって、雨を楽しむことができるかもしれません。雨粒の音を聞きながら、お念仏をお唱えし、心の中で静かな平和を感じてみてください。

 

 心を澄ませることは、内なる平静を見つける助けとなるかもしれません。南無阿弥陀佛